日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡下に切除した大網原発Castleman病の1例
眞鍋 恵理子金沢 義一藤田 逸郎新井 洋紀柿沼 大輔功刀 しのぶ内藤 善哉内田 英二
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2017 年 78 巻 3 号 p. 602-608

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抄録

症例は40歳,女性.嘔気のため近医を受診し,CTで腹腔内腫瘤を指摘され,精査加療目的に当科紹介.腹部造影CTで胃大彎に接して大網に32mm大および12mm大の連続する腫瘤を認めた.EUSでは内部が均一で血流豊富な低エコー腫瘤を認め,EUS-FNAでリンパ濾胞由来と思われるリンパ球を認めた.GISTまたはリンパ腫が疑われ,腫瘤の確定診断および治療目的にて腹腔鏡下大網腫瘍摘出術を行った.術中所見から腫瘤は胃と連続性はなく,腫瘤とその近傍の腫脹したリンパ節を摘出した.病理組織学的検査でCastleman病と診断され,術後約2年,再発なく経過良好である.Castleman病は腹腔内に発生するのは3.2%といわれ,その中でも大網発生は稀である.今回,われわれは大網腫瘤に対して診断的治療として腹腔鏡手術を行ったCastleman病の1例を経験したので報告する.

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