抄録
症例は12歳,男児.腹痛と嘔吐を主訴に当院救命センターを受診し,虫垂炎が疑われ精査を施行した.腹部造影CT検査では糞石を伴い高度に腫大した虫垂が右傍結腸溝に存在し,一部粘膜が造影不良で壊疽性虫垂炎と診断,周囲の腹水から限局性腹膜炎と判断し緊急手術となった.開腹時に腫大した虫垂を検索すると,その根部は回盲部肛門側の上行結腸背外側より起始していた.また,盲腸の先端に虫垂様突起物を認めなかった.上行結腸背側からの虫垂間膜を処理,根部を切離し,虫垂を摘出した.病理学的に切除された検体はリンパ濾胞を含む虫垂と確認され,壊疽性虫垂炎と診断された.虫垂炎は消化器外科で扱う一般的な疾患であるが,虫垂の発生異常は極めて稀である.本邦において文献的にも虫垂欠損や重複虫垂は報告されているものの,虫垂の起始部の発生異常の報告は認められない.世界的に見ても極めて稀であり,文献的考察を含め報告する.