2017 年 78 巻 4 号 p. 809-813
症例は14歳,女性.6歳時に潰瘍性大腸炎(UC)を発症し,当院小児科通院中であった.フォローアップの下部消化管内視鏡検査において,直腸の潰瘍性病変からの生検で高分化型腺癌と診断され,手術目的に紹介となった.手術は腹腔鏡下大腸全摘術,D3郭清,回腸嚢肛門吻合,回腸双孔式人工肛門造設術を施行した.UCの手術適応の一つに大腸癌の併発があげられる.大腸癌の合併頻度は,UC発症後10年で1.8%,20年で8.3%,30年で18.4%とされている.当院では2007年からUCに対する腹腔鏡下大腸全摘術を行っており,今回,若年で発見された炎症性大腸癌に対して腹腔鏡下に安全に切除しえた1例を経験したので報告する.