抄録
症例は43歳,女性.近医で肝腫瘤を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.既往歴として,2年前に髄膜血管周皮腫に対して当院脳神経外科にて開頭腫瘍摘出術を施行されていた.当科受診時の腫瘍マーカーはいずれも陰性であり,肝障害度A,Child-Pugh Aと肝予備能は良好であった.術前の腹部dynamic CT検査では肝S8,S4に早期相で濃染し,遅延相で内部ほぼiso-densityとなる腫瘤を認めた.肝細胞癌との鑑別が問題となったが,既往歴の聴取,および正常肝における多発病変であることから,髄膜血管周皮腫術後・肝転移再発と診断し,肝S8,S4部分切除術を施行した.術後1年10カ月現在,無再発にて外来経過観察中である.慢性肝疾患の既往の無い多血性肝腫瘍に遭遇した際には,詳細な病歴聴取を行い治療方針を検討する必要があると考えられる.