2017 年 78 巻 5 号 p. 1008-1013
症例は80歳,女性.身長148cm,体重35kg,BMI 16.2kg/m2.体重減少なし.胃潰瘍にて幽門側胃切除術の既往あり.盲腸癌に対し,腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行.5ポート,10mmHgで気腹開始後約15分で,呼気終末二酸化炭素濃度は上昇を始めた.呼吸数,一回換気量の増加では是正しきれず,全身観察で頸部から大腿に広がる皮下気腫を認めた.血液ガス分析値はpH 7.19,PaCO2 93mmHgと高二酸化炭素血症による呼吸性アシドーシスを示した.経皮的動脈血酸素飽和度は100%を維持しており,気道内圧の上昇は見られなかった.手術中断,過換気により高二酸化炭素血症は改善した.20分後に4mmHgの低圧気腹で手術を再開.視野展開・手術操作に問題はなく,高二酸化炭素血症・皮下気腫の再増悪もなく手術を終了した.