日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
横行結腸原発CK7+/CK20-/CDX2-低分化腺癌の1例
林 俊治森田 恒彦中村 貴久
著者情報
キーワード: 大腸癌, CK7+/CK20-, CDX2-
ジャーナル フリー

2017 年 78 巻 5 号 p. 1019-1023

詳細
抄録

症例は83歳,男性.67歳時に前立腺癌を発症し内分泌治療を施行されていたが,骨転移を伴い去勢抵抗性となっていた.1カ月前に血尿・血便を認めたため,施行された膀胱鏡検査で前立腺癌の膀胱浸潤が判明していた.下部消化管内視鏡検査では横行結腸に全周性2型病変による狭窄を認め,生検で低分化型腺癌と診断した.CTでは膀胱の腫瘤像と横行結腸の限局した壁肥厚像を認めたが,肺肝転移やリンパ節の腫脹は認めなかった.前立腺癌膀胱浸潤と横行結腸癌の併発との診断で横行結腸部分切除術を施行した.摘出標本の病理組織検査では,病巣の主座は粘膜下にある低分化型腺癌で前立腺癌と類似した所見で,免疫染色の結果CK7+/CK20-/CDX2-で原発大腸癌としては典型的ではなく,前立腺癌の横行結腸転移が疑われた.しかし,臨床的には結腸転移としての説明が困難であることから免疫組織検査を追加検討し,最終的に原発性横行結腸癌と診断した.

著者関連情報
© 2017 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top