日本臨床外科学会雑誌
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症例
胆管ステントによるS状結腸穿孔の1例
宮坂 衛村上 慶洋阿部 紘丈武山 聡子野日 政昭平野 聡
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2017 年 78 巻 5 号 p. 1024-1029

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抄録

症例は82歳,男性.2年前に総胆管結石に対して内視鏡的胆道ステント留置術(endoscopic biliary stenting:EBS)を施行していた.腹痛で救急外来へ搬送され,CT検査にて胆管ステントのS状結腸への逸脱とfree airを認めた.胆管ステントによるS状結腸穿孔を疑い,緊急手術を施行した.術中所見では,S状結腸に胆管ステントが穿孔していた.腹水や便汁の流出,腹膜炎の所見は認めず,穿孔部の楔状切除を行った.
EBSは胆道閉塞疾患に対する内瘻術として用いられる.合併症としてステントの逸脱はしばしば経験されるが,ステントによる大腸穿孔は比較的稀である.穿孔の原因となりやすい憩室多発例や逸脱ステントが停滞している場合,早期の内視鏡的摘出なども考慮すべきである.また,穿孔した場合も腹膜炎に至らない場合も多く,穿孔部の楔状切除や縫合など,縮小・低侵襲な手術も考慮して良いと考えられる.

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