抄録
目的:近年,慢性腎臓病(chronic kidney disease,以下CKD)は周術期合併症の危険因子として注目されている.肝細胞癌根治術の経過にCKDが及ぼす影響を検討した.
方法:2011年から2015年に施行した肝切除術240例を対象とした.推定糸球体濾過量(eGFR)60mL/min/1.73m2未満をCKD群(63人)として患者背景,手術関連因子,周術期合併症についてeGFR 60以上のコントロール群(177人)と比較した.
結果:Clavien-Dindo分類Grade III以上の合併症はCKD群で11.1%,コントロール群で13.0%に発生し,有意差はなかった.周術期死亡率,心血管合併症,術後急性腎障害,創部感染の発生率にも差はなかった.
結語:CKD患者のHCCに対する肝切除術は非CKD患者との比較で合併症発生率の有意な上昇なく施行されていた.