日本臨床外科学会雑誌
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症例
胸腔内胸壁型脂肪腫の1例
滝沢 昌也田中 雄亮小林 弘明俵 広樹和田 崇志高橋 智彦
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2017 年 78 巻 5 号 p. 966-970

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抄録

67歳,男性.胸部単純X線写真にて増大傾向のある腫瘤性陰影を指摘され,当院へ紹介となった.胸部CTでは,左前側胸壁に胸腔内へ突出する13×6cm大の辺縁平滑な脂肪濃度腫瘤を認めた.MRIでは,腫瘤は皮下脂肪と同等な信号域を呈し,造影効果はなく内部は一部不均一であった.画像上は良性の胸腔内脂肪腫と診断したが,脂肪肉腫の可能性が否定できないため,診断治療目的に胸腔鏡補助下腫瘍摘出術を行った.腫瘍は壁側胸膜を発生母地とする有茎性腫瘍であり,摘出標本の病理組織診断により脂肪腫と診断した.胸腔内脂肪腫はまれな腫瘍であり,臨床的には脂肪肉腫との鑑別が問題となり,切除によって確定診断されることが多い.今回,増大傾向を示した胸腔内脂肪腫の1切除例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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