日本臨床外科学会雑誌
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症例
腫瘍中心に迷入膵組織が認められた胃GIST切除後デスモイド腫瘍の1例
大西 敏雄木南 伸一富田 泰斗藤田 秀人上田 順彦小坂 健夫
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2017 年 78 巻 5 号 p. 988-993

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抄録

症例は75歳,女性.胃GIST(gastrointestinal stromal tumor)の診断でLECS(laparoscopic endoscopic co-operative surgery)が行われた.GISTは28×25×22mmで,偽被膜損傷なく切除され,moderate riskであった.外来通院経過観察のX-CTで胃小彎側にmassが発見された.Follow up CTで腫瘍径は増大し,GIST再発と診断.初回手術の1年後に再手術を施行した.胃角小彎の小網内に腹膜に包まれた腫瘍を確認し,腫瘍切除を施行した.切除標本は20×14×12mmで灰白色を呈し,境界明瞭な腫瘍であった.組織学的には線維芽細胞様紡錘形細胞の不規則な錯綜配列と炎症細胞浸潤を伴い,免疫染色でβ-cateninが陽性を示しdesmid typeのfibromatosisと診断した.また,中心に腺房細胞とLangerhans島細胞からなる膵細胞を認め,迷入膵と診断した.本症例は手術を契機に発生した腹膜内デスモイド腫瘍であるが,胃GIST切除後に発生したデスモイド腫瘍の報告例は少なく,また,中心に迷入膵を伴ったデスモイド腫瘍の文献は見当たらない.稀な形態を示した腸間膜デスモイド腫瘍を経験したので報告する.

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