2017 年 78 巻 5 号 p. 999-1003
症例は14歳,女児.腹痛と下血を認め,他院を受診した.腹部CT検査で小腸出血が疑われ当院へ転送された.来院時に出血性ショックを認め,貧血の進行を認めた.小腸内視鏡を施行したが,出血源を同定できなかった.大量輸血にも関わらず貧血の進行を認め,小腸内視鏡を併用した試験開腹術を施行した.しかし出血源は同定できず,空腸内出血を認めた空腸30cmを切除した.初回術後も下血は継続し,血管造影を併用した再開腹術を施行した.血管造影で,初回吻合部より30cm肛門側に血管漏出像を同定した.同部には3mm大の腫瘤性病変を認め,同部を含む空腸を切除した.病理組織学的にはangiodysplasiaであった.本症例を通して,小児小腸出血における治療戦略を文献的に考察する.