日本臨床外科学会雑誌
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原著
急性胆嚢炎に対するPTGBD後の腹腔鏡下胆嚢摘出術の治療成績
吉田 祐小練 研司呉林 秀崇加藤 成森川 充洋村上 真廣野 靖夫前田 浩幸片山 寛次五井 孝憲
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2017 年 78 巻 6 号 p. 1179-1185

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抄録

当科で経験した急性胆嚢炎症例のうち,抗菌薬投与や経皮径肝胆嚢ドレナージ(以下,PTGBD)を先行し待機的に腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下,LC)を施行した130例を対象に,PTGBDの有無や施行時期による周術期成績を後ろ向きに検討した.内訳は軽症78例,中等症52例,PTGBD施行77例,非施行53例.中等症例では,初診時の白血球,CRPがPTGBD施行群で有意に高かったが,出血量,開腹移行率は有意に低値であった.発症からPTGBDまでの時間,PTGBDから手術までの期間を2群に分け,周術期成績を比較した.発症からPTGBDまで48時間未満の群,PTGBDから手術まで14日未満の群で,開腹移行症例は認めなかった.中等症急性胆嚢炎症例に対して安全に待機的LCを施行するためにPTGBDは有用であり,開腹移行率軽減,入院期間短縮や治療コストを考慮すると,早期のPTGBD・LC施行が肝要と考えられた.

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© 2017 日本臨床外科学会
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