日本臨床外科学会雑誌
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症例
集学的治療を行った正中弓状靱帯症候群による破裂性多発性内臓動脈瘤の1例
村瀬 勝俊関野 誠史郎木村 真樹関野 考史土井 潔川田 紘資五島 聡
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2017 年 78 巻 6 号 p. 1256-1261

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抄録

症例は57歳,男性.意識消失をきたしCTで腹腔内出血を認め当院に緊急搬送された.
CTで後上膵十二指腸動脈(PSPDA)瘤破裂による腹腔内出血を認めた.また,正中弓状靱帯症候群(MALS)による腹腔動脈狭窄と前下膵十二指腸動脈(AIPDA)瘤,脾動脈瘤を認めた.PSPDA瘤破裂に対し緊急IVRによるコイル塞栓術を行った.
PSPDA・AIPDA瘤の原因はMALSと考えられることから,MALSに対する正中弓状靱帯切開術を行う方針としたが,正中弓状靱帯切開により腹腔動脈系の血圧上昇から脾動脈瘤の拡大が懸念されたため脾摘術も行い,その後AIPDA瘤に対するIVRを行う方針とした.腹腔鏡補助下に脾摘出術を行い,その小切開創から弓状靱帯切開術を行った.その後,AIPDA瘤に対するIVRにてコイル塞栓術を施行した.発症から10カ月現在,腹腔動脈の狭窄は消失し動脈瘤の再疎通は認めていない.

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