2017 年 78 巻 6 号 p. 1267-1271
症例は79歳,女性.数十年前に神経線維腫症1型を指摘.左大腿部の悪性末梢神経鞘腫瘍(malignant peripheral nerve sheath tumor:MPNST)に対して整形外科で広範切除後,66Gyの照射を施行.術後6カ月の胸部X線で左上肺野に2cm大の結節を指摘され,胸部CTでは左上葉S1+2に17×14mmの充実性結節を認めた.局所再発は認めず,孤立性の左転移性肺腫瘍が疑われ,胸腔鏡下肺部分切除を施行した.腫瘍は葉間胸膜から下葉へ浸潤しており,S1+2およびS6を部分切除した.病理組織検査よりMPNSTの肺転移と診断したが,補助療法は行わなかった.術後2カ月で左肺および胸壁に再発を認め,緩和治療として疼痛コントロール等を行ったが,病状が進行し,肺切除後約4カ月で永眠した.