抄録
症例は73歳,男性.他院にて食道癌に対し胸腔鏡腹腔鏡下食道亜全摘,後縦隔胃管再建術を施行された35カ月後,腹痛と嘔吐を訴え当院に入院した.CTにて左胸腔への腸管の脱出を認め,横隔膜ヘルニアと診断し手術を施行した.挙上胃管左側の食道裂孔をヘルニア門として横行結腸が左胸腔内に脱出していた.脱出腸管の血流は良好であった.ヘルニア門の横隔膜部を縫縮,胃管と横隔膜脚は縫合せず,縫縮部を含めたヘルニア門全体を大網にて被覆した.経過は良好で術後22日目に退院し,術後76日目に癌性胸膜炎にて死亡するまで再発は認めなかった.文献によれば,食道癌術後の横隔膜ヘルニアは,増加傾向にあり,術後長期にわたり発症の可能性があり,生命を脅かす可能性もある合併症であることが示唆された.