抄録
上腸間膜動脈解離は稀な病態であり,時にステント留置を要する場合がある.孤立性上腸間膜動脈解離に対し,ステント留置を施行し,その後,遅発性小腸狭窄を引き起こしたため単孔式腹腔鏡下手術にて切除し,治癒した症例を経験したので報告する.
症例は54歳の男性.食後突然発症した腹部の激痛にて救急搬送された.造影CTにて第一空腸動脈分岐部より末梢に造影効果を認めなかった.上腸間膜動脈造影にて,上腸間膜動脈解離と診断し,ステント留置を行った.末梢の血流は再開し,壊死は免れたが,小腸狭窄によるイレウスを発症したため,第34病日に単孔式腹腔鏡下小腸切除術を施行した.術後経過は良好で,術後約25カ月経過したが,解離腔の増大や小腸狭窄は認めていない.上腸間膜動脈解離に対しステント留置が奏効した場合でも,早期合併症だけではなく,遅発性腸管狭窄が発症する可能性を念頭に置いたフォローアップが必要であると考えられる.