日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後11年目に肝・腎転移した皮下solitary fibrous tumorの1例
須藤 亜希子木村 憲央矢越 雄太石戸 圭之輔工藤 大輔袴田 健一吉澤 忠司鬼島 宏
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2017 年 78 巻 6 号 p. 1381-1388

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抄録

症例は78歳,男性.2001年に左肩部腫瘍摘出術の既往があった.2012年の腹部CTにて,肝左葉外側区域と左腎に早期濃染とwash outを示す腫瘍を認めた.胆管嚢胞腺癌および左腎細胞癌の重複癌の診断で,肝左葉切除術,左腎部分切除術,胆嚢摘出術を施行した.病理組織学的検査にて,肝・腎ともにHemangiopericytoma (HPC)と診断された.原発巣検索目的に2001年に左肩部腫瘍手術時の病理所見を確認したところ,肝・腎腫瘍と類似した所見を呈するHPCであった.臨床経過や病理所見を総合し,左肩部皮下原発HPCの肝・腎転移と診断した.2013年WHO分類にてHPCはsolitary fibrous tumor(SFT)へ統合されたが,軟部組織原発SFTの肝腎転移の報告はまれである.若干の文献的考察を加え報告する.

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© 2017 日本臨床外科学会
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