抄録
症例は47歳の女性.戸谷Ia型の先天性胆道拡張症・膵胆管合流異常に対し,18歳時に肝外胆管切除,肝管空腸吻合術を受けた.心窩部痛を主訴に近医を受診し,血液検査で膵酵素の上昇を指摘された.腹部CT検査で膵頭部に22mm大の低吸収腫瘤を認め,上腸間膜静脈,十二指腸,挙上空腸への浸潤が疑われた.明らかな遠隔転移の所見はなく門脈合併切除を伴う亜全胃温存膵頭十二指腸切除術,Child変法再建術を行った.切除標本では膵頭部領域に高分化腺癌を認め,十二指腸浸潤・門脈浸潤を認めたがリンパ節転移はなくR0切除が達成された.病理組織学的に明らかな膵内胆管の遺残はなかった.膵・胆管合流異常に膵癌を合併することは胆道癌よりも頻度が少ないものの,通常型膵癌の発生頻度よりも高率とされている.自験例のように若年発症することも念頭に,膵・胆管合流異常では膵悪性腫瘍も念頭に置いたフォローアップが必要と考えられた.