抄録
横行結腸癌術後に発症し保存的治療で脾臓が消失した脾梗塞の1例を報告する.患者は57歳の女性で,発熱と腹痛を主訴に当院救急外来を受診した.単純CTで横行結腸に不整な壁肥厚を認め,横行結腸・下行結腸・左腎に囲まれた後腹膜に被包化されたガスと液体貯留を認めた.横行結腸癌の穿通による腸間膜内膿瘍を疑い,緊急手術を施行した.結腸脾彎曲部が胃底部の背側まで達していたため,胃脾間膜を切離して結腸の授動を行い,結腸左半切除術を施行した.術後9日目の造影CTで脾臓内部に低濃度の液体貯留と少量のガスを認め,脾梗塞と診断した.抗菌薬投与とドレナージによる保存的治療で軽快し,術後67日目に退院した.術後6カ月目の造影CTで脾臓は消失しており,完全に壊死して吸収されたと考えられた.脾梗塞に対する保存的治療は,全身状態が安定しドレナージが効いている場合には有用であることが示唆された.