抄録
症例1は67歳,女性.PET検査にて甲状腺右葉に集積を認め紹介となった.超音波検査にて甲状腺右葉上極近くおよび右葉背側にそれぞれ腫瘤像を認め,細胞診を施行したところ前者は乳頭癌疑いとの診断であった.後者はリンパ節転移を疑い,手術を施行した.術中所見にて甲状腺背側の腫瘤は食道との連続性を認め,食道憩室と診断した.症例2は55歳,男性.CT検査にて甲状腺左葉に腫瘤を認め,超音波検査にて同腫瘤およびその背側に接する腫瘤像を指摘された.細胞診にて前者は乳頭癌疑いであり,手術を施行した.術中に甲状腺左葉の腫瘍の背側に位置する食道の拡張を認め,食道憩室と診断した.いずれの症例も,甲状腺切除に食道憩室切除を併施した.甲状腺癌に食道憩室を併存した報告は会議録以外にない.超音波検査で甲状腺背面に境界明瞭な内部に粒状の高エコーを伴う腫瘤影がある場合には,食道憩室の可能性を考えてCT画像との対比などを行う必要がある.