抄録
患者は56歳,女性.関節リウマチのスクリーニング検査で胸部CTを行ったところ左肺下葉に小結節を指摘され,肺癌の疑いで当科に紹介された.胸腔鏡下左肺下葉切除を予定したが,術前のCTで左肺静脈共通幹を認識できた.手術時に左肺静脈共通幹を確認し,末梢側に追及して上肺静脈と下肺静脈との合流部を確認した後に下肺静脈を切離することで,安全に胸腔鏡下での左肺下葉切除を完遂できた.肺静脈共通幹は肺血管の正常変異の一つであり,肺葉切除の際に肺静脈が共通幹であることを認識せずに誤って切断してしまうと,血行再建や残存肺全摘といった対処をしなければならなくなり,致命的ともなり得る.術前のCTで,切断すべき肺静脈・残すべき肺静脈の双方を確認し,さらに術中にも再確認することが安全に手術を行う上で重要であると考える.