2018 年 79 巻 11 号 p. 2246-2251
症例は64歳,女性.嚥下困難を主訴に受診し,上部消化管内視鏡検査(esophagogastroduodenoscopy:EGD)で胸部食道に2型腫瘍を認め,生検で扁平上皮癌であった.治療前診断T3N1M0 Stage IIIとして,biweekly DCFによる導入化学療法を開始したが高度肝障害を認め中止し,low dose FP療法を併用した化学放射線療法(chemoradiotherapy:CRT)を施行した.後治療を1年間継続しPET-CT検査を施行したところ局所に集積を認めた.EGDやCT検査で腫瘍の確定診断は得られず,食道癌再燃と診断し救済手術を施行したが,病理学的完全奏効であった.本症例のように,原発巣の遺残や再発の確定診断を得られない場合にPET-CT検査が有用であるとの報告があるが,感度や特異度,腫瘍のviability評価や治療の効果判定に関しては更なる検討が必要である.