抄録
症例は83歳,女性.肝S7単発の転移性肝腫瘍に対して肝S7部分切除術を施行した.術前CTでは副腎に腫瘍性病変は認めなかった.術中右葉脱転操作により副腎裂傷をきたし出血を認めたため,イオアドバンス電極(VIO 300D,ERBE社,エフェクト6,最大90W)によるソフト凝固止血を行った.直後に収縮期血圧200mmHg以上の異常高血圧を認め,止血操作の中止とニフェジピンの投与で速やかに改善し,その後の手術に影響はなかった.術後の血圧,血糖は安定しており術後合併症も認めず,術後第14病日に退院となった.ソフト凝固は従来の電気メスによる凝固と比較して凝固層が深くなり,本症例では副腎髄質まで及びカテコラミン放出をきたしたと推測される.副腎周囲ではソフト凝固の使用は控えるべきと考えられた.