日本臨床外科学会雑誌
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症例
魚骨迷入により肝膿瘍をきたした1例
小濱 拓也浦出 剛史難波 富美子御井 保彦沢 秀博岩谷 慶照黒田 大介
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キーワード: 魚骨, 肝膿瘍, 異物
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2018 年 79 巻 3 号 p. 554-559

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抄録
魚骨により消化管穿孔をきたすことがあると知られているが,魚骨の迷入により肝膿瘍をきたした症例は稀である.症例は,74歳の男性.発熱,呼吸苦を主訴に救急受診した.2週間前に魚骨を飲み込んだ自覚があった.腹部CT検査,腹部超音波検査で肝内に魚骨を疑う異物および肝膿瘍を認めた.ショックを伴う全身状態の悪化を認めたため,緊急で経皮的膿瘍ドレナージ術を施行した.翌日に開腹肝内異物除去術,膿瘍ドレナージ術を施行した.術中超音波検査で膿瘍内に音響陰影を伴う線状高エコーを認めた.膿瘍ドレナージを行ったところ,肝内に完全に埋没した魚骨を認め,摘出した.消化管の穿孔・穿通部位は明らかではなかった.術後21日目に軽快退院した.魚骨の迷入により肝膿瘍をきたした稀な症例を経験した.保存的加療やPTADのみでは再燃・増悪例も報告されており,全身状態が安定した状態で,可及的速やかに魚骨の除去を検討すべきである.
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© 2018 日本臨床外科学会
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