2018 年 79 巻 4 号 p. 740-743
今回,鏡視下での食道癌術後に経腸栄養との関連が疑われたNOMIを発症した1例を経験したので報告する.患者は85歳,男性.ふらつき・黒色便を主訴に受診し,精査で食道胃接合部癌と診断され,胸腔鏡下食道亜全摘,腹腔鏡補助下胃管再建,3領域郭清を施行された.2病日から経腸栄養を開始し5病日に強い腹痛を認め,CTで門脈ガス血症・腸管気腫を認め,NOMIと診断し緊急手術を施行した.術後に経腸栄養を施行している際の頻回の下痢に続く腹痛には,NOMIの可能性を念頭に置いて検査をする必要がある.