日本臨床外科学会雑誌
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症例
術後呼吸・循環不全を呈したupside down stomachの1例
高原 善博小笠原 猛宇野 秀彦西田 孝宏吉住 有人
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2018 年 79 巻 4 号 p. 744-748

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抄録

症例は78歳の女性で呼吸困難にて当院を受診し,CTにて食道裂孔ヘルニアに胃軸捻を伴うupside down stomachの診断となった.術前より呼吸障害を認め人工呼吸器による陽圧換気を要しており,経鼻胃管による胃内減圧を施行するも呼吸障害が改善せずに,準緊急にて腹腔鏡下食道裂孔ヘルニア修復術を施行した.術後呼吸・循環不全が遷延し,胸部単純X線写真にて右下縦隔に軟部陰影を認めたために,同部位の穿刺を施行したところに古い血液様の排液を認めた.保存的加療にて呼吸・循環不全は改善し,胸部単純X線写真にても右下縦隔陰影は消失した.巨大食道裂孔ヘルニア修復術術後においては,血腫および水腫による心肺圧迫症状の出現の可能性があると考えらえた.

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© 2018 日本臨床外科学会
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