抄録
症例は87歳,女性.右側腹部の腫瘤を自覚したため近医を受診し,皮膚腫瘤および腹壁膿瘍と診断され当院へ紹介された.皮膚腫瘤の生検では悪性所見は認めなかった.画像所見では皮下膿瘍内に結石を疑う高吸収域を認めており,腹腔内では胆嚢底部と連続していた.周囲臓器への浸潤などの悪性を示唆する所見に乏しく,胆石による慢性胆嚢炎に合併した胆嚢皮膚瘻と診断した.開腹での胆嚢摘出術および瘻孔切除を施行した.胆嚢底部と腹壁は瘻孔が形成されていた.皮下には結石を複数伴っていた.病理組織学的検査では黄色肉芽腫性胆嚢炎と診断され,悪性所見は認めなかった.診断や治療技術の向上により,胆嚢皮膚瘻は近年では比較的稀な病態となっている.慢性胆嚢炎は腸管などの腹腔内臓器との瘻孔を形成することは報告されているが,胆嚢皮膚瘻を伴う報告は非常に稀であり,文献的考察を加えて報告する.