抄録
めまい、頭痛、および急性感音難聴が先行し、診断に苦慮した髄膜癌腫症の1症例を経験したので報告する。症例は66歳、男性。平成20年11月24日、ふらつき、頭痛が出現、その後症状悪化にて近医に入院となった。症状の改善を認めないため、当院紹介受診となり、両側急性感音難聴の診断にて入院加療とした。ステロイド治療に反応しないため、腫瘍マーカー検査を施行したところ、CEA 531ng/mlと高値を認めた。精査したところ、胃癌(印環細胞癌)の頭蓋内転移の診断に至った。急性感音難聴の原因として悪性腫瘍の頭蓋内転移が疑われた場合、頭部造影MRI、腫瘍マーカー、さらに繰り返しの髄液検査を行う必要が考えられた。また、急性感音難聴が先行する髄膜癌腫症症例について検討を行った。