抄録
術前血清CA19-9が533.0U/mlと異常高値を示し,DCMに合併したCA19-9産生胃癌の1例を経験したので報告する.症例は57歳,男性.検診の胃透視で異常を指摘され紹介医を受診.上部消化管内視鏡検査で4型腫瘍を認め,生検にて腺癌と診断された.手術は胃全摘出術,D2郭清,脾臓合併切除,胆嚢摘出を施行.病理組織診断はpT3(se)N3H0M0 pStage III Cであり,DCMを認めた.切除標本の免疫染色では癌細胞の細胞質にCA19-9陽性所見がみられ,血清CA19-9が術後2カ月目より正常化したことよりCA19-9産生胃癌と診断した.高度のリンパ節転移を認め,術後20日目から術後補助化学療法を開始した.術後60カ月経過した現在も無再発生存中である.CA19-9産生胃癌の本邦報告例は,本症例を含め39症例とまれであり,DCMを合併した症例は現在まで報告がないことから,文献的考察を加えて報告する.