抄録
症例は右上腕の人工血管シャント閉塞で紹介された66歳の女性.ヨード造影剤アレルギーがあり,外科的血栓除去,バルーン血管形成時に造影剤として炭酸ガスを用いた.術後に,痙攣,意識障害を発症し,MRIにて右小脳梗塞を認めた.透析シャントトラブルでの炭酸ガス造影では,上腕動脈から逆行性に脳血管に流入して意識消失,片麻痺などを起こした報告はあるが,症状は一過性であったとされている.本例では人工血管の血栓除去後の炭酸ガス造影で小脳梗塞を発生した.炭酸ガスは液体と混ざらないため,液体の造影剤に比べて早い注入速度でないと造影不良となる.そのため,中枢に向かって逆流しやすいが,血栓摘出後で人工血管内に微少血栓が残存した場合,逆流する気体により押上げられ脳梗塞となる可能性が高く,血栓摘出術後の動脈側炭酸ガス造影では,より注意が必要である