日本臨床外科学会雑誌
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症例
診断が困難であった鼠径部放線菌症の1例
上村 志臣宮坂 祐司瀧川 拓人小野 雅人土川 貴裕平野 聡
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キーワード: 鼠径部, 放線菌症, 腹膜転移
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2018 年 79 巻 8 号 p. 1804-1807

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抄録
症例は84歳,男性.慢性腎不全,胃癌術後のため当院に通院中.2週前より続く右下腹部の違和感を主訴に受診.右鼠径部に圧痛を伴う可動性のない硬結を認め,鼠径ヘルニア嵌頓を疑った.CTで右鼠径部に腫瘤を認めたが腸管の脱出は明らかではなく,精索水腫を疑い経過観察とした.再診時にも所見に変化はなく,診断と治療目的に局所麻酔下の切除を予定した.鼠径ヘルニア手術に準じて外腹斜筋腱膜を切開すると周囲組織と剥離困難な腫瘤性病変を認め,開放すると少量の白濁液を伴う組織塊を認めた.周囲組織との関係から胃癌の腹膜鞘状突起部再発を疑い生検のみで終了した.病理検査では放線菌塊を伴う炎症性肉芽組織を認め,現在外来でアモキシシリンの内服を継続している.
鼠径部に孤立して発症した腹壁放線菌症の本邦報告例はない.鼠径ヘルニア,精索水腫,胃癌術後の腹膜播種再発との鑑別を要した極めて稀な腹壁放線菌症の1例を経験したので報告する.
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© 2018 日本臨床外科学会
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