2025 年 86 巻 7 号 p. 907-914
症例は58歳,女性.cT4aN1M0胃癌に対し開腹手術を施行した.肝十二指腸間膜を含めた小彎側への浸潤と腹腔内洗浄細胞診陽性により,術式を胃空腸バイパス手術とした.1st line SOX療法を開始,続いて2nd line PTX+RAM療法を継続中,非切除の腫瘍が腹部切開創に浸潤し癌性胃腹壁皮膚瘻形成をきたした.即3rd line nivolumab単剤療法を開始.著効を示し,3コース終了後には瘻孔の完全閉鎖をみた.食事摂取,QOLは良好であった.Nivolumab計40コース継続後に施行しえたconversion手術はR0手術となり,切除標本で皮膚瘻周囲組織の癌細胞消失と原発巣pCRが確認された.右噴門リンパ節1つのみに癌細胞の遺残があり,ypT0N1の診断となった.後療法を施行していないが,現在5年間無再発生存中である.胃癌が腹壁皮膚に浸潤し胃皮膚瘻形成に至ることは,開腹後の創部であったとしても極めて稀である.胃皮膚瘻形成とnivolumab著効による閉鎖,原発巣pCR,conversion手術後長期生存と,興味深い経過を辿った症例を経験したので報告する.