抄録
症例は78歳,女性.胃癌(pT3N0M0,Stage IIA)に対して幽門側胃切除術を施行.再建はRoux-en-Y法(後結腸経路)で,胃空腸吻合は自動縫合器による側々吻合で行った.術後4日目で経口摂取を開始したが,術後12日目に嘔吐を認めた.胃透視で胃空腸吻合部の通過障害を認めた.内視鏡検査では挙上空腸の盲端側空腸が胃内に突出して腸重積となっており,通過障害の原因と考えた.内視鏡的整復は困難で,経鼻胃管を留置して保存的加療を試みたが改善なく,術後25日目に再手術を施行.手術は残胃前壁を切開し,胃内で腸重積部を自動縫合器で切離して胃切開部を縫合閉鎖した.再手術後に通過障害は改善し,再手術後47日目で退院.Roux-en-Y再建後の胃空腸吻合部の腸重積の報告例は3例と稀で,いずれも再手術で残胃切除および再建が行われていた.今回,再手術で腸重積部の切除のみで残胃切除を回避しえた1例を経験したので報告する.