2019 年 80 巻 10 号 p. 1807-1812
症例は58歳の女性で,近医での超音波検査で右C区に不整形低エコー病変を認めた.MRIを施行し,両側乳腺の広範囲に造影効果を伴い,悪性を否定できなかった.針生検で右乳腺は非浸潤性乳管癌(以下DCIS)もしくは微小浸潤癌,左乳腺は腫瘍性病変なしの診断であった.更なる精査加療目的で当院に紹介となった.左CDE区にかけて乳管拡張を認め,斑状構造を呈した部分を認めたため,改めて針生検を行ったところ,DCISと診断された.同時性両側乳癌の診断で,両側に乳房切除術+センチネルリンパ節生検を施行した.病理組織学的所見は,右はDCIS,ER(+),PgR(+)であり,左はDCIS,ER(-),PgR(-)で,両側ともTis,N0,M0,Stage 0であった.訴えのない対側乳腺の診断にも注意深く対応し,また手術術式やバイオマーカーの多様化で術後補助療法などの複雑化も懸念され,適切な治療方法を選択が必要である.