2019 年 80 巻 10 号 p. 1813-1818
症例は83歳,女性.5カ月前に右乳房腫瘤を自覚し近医を受診したが,高齢を理由に積極的な検査や治療は行わず経過観察されていた.その後,腫瘍の増大を認めたため当院を受診し,針生検で葉状腫瘍が疑われたが手術は希望しなかった.腫瘍はさらに増大し,当院初診から約1年後に自壊して出血をきたしたため,手術を行うこととなった.経過より悪性葉状腫瘍を疑い,乳房全切除術および腋窩リンパ節のサンプリングを施行した.病理検査の結果,60×35mmの良性葉状腫瘍に近接して,4.5×2.5mmの浸潤性乳管癌が併存していた.83歳での葉状腫瘍の報告は本邦最高齢であり,また葉状腫瘍に乳癌が同時性に同側乳房に併存することは非常にまれで,本邦では本症例を含めて37例の報告を認めるのみである.乳癌併存葉状腫瘍の臨床病理学的特徴について,文献的考察を加え報告する.