日本臨床外科学会雑誌
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症例
小網原発GISTの2例
松本 拓朗大木 進司門馬 智之喜古 雄一郎田﨑 和洋河野 浩二
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2019 年 80 巻 12 号 p. 2175-2182

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抄録

(症例1)76歳,男性.前立腺癌に対しホルモン療法で治療中,造影CTで胃小彎側に胃壁との境界を有する内部不均一な腫瘤を認めた.FDG-PET/CTでSUVmax 3.7のFDG集積を認めた.同時に直腸S状部に内視鏡的に切除困難な腺腫を認めたため,同時手術方針となった.腫瘍は60mm大で左胃動脈より栄養されていたが胃壁との連続性はなく完全に摘出され,小網原発GISTと診断した.(症例2)65歳,女性.人間ドックでCA19-9の高値を指摘された.造影CTで胃体部腹側に,不整形で内部不均一な巨大腫瘤を認め,FDG-PETでSUVmax 4.9のFDG集積を認めた.EUS-FNAでc-kitが弱陽性,CD34が陽性のGISTの診断であり,腫瘍径が大きいため,開腹による腫瘍摘出術を施行した.腫瘍は150mm大,小網に局在し胃や大網と癒着していたが連続性は認めず,小網原発GISTと診断した.損傷なく完全摘出し得た.

いずれの症例も高リスクの小網GISTの診断であったが,術後補助化学療法は希望により施行せず,それぞれ術後31カ月,109カ月再発なく経過している.

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