抄録
走査近接場光学顕微鏡(SNOM)は、近接場光と呼ばれる、エネルギーが試料表面に沿ってのみ伝播する光(エバネッセント波)を利用する光学顕微鏡で、理想的には20nmという超高分解能を得ることが可能である。本研究では、SNOMの高分解能分光を地球科学試料に適用可能にし、多結晶間の歪み、微小な包有物の状態測定、物質の酸化状態の2次元イメージングなどを測定することを目標としている。 本研究では、AFM(島津製作所)の走査探針に光ファイバー(先端に300nmの開口が空けられている)を用いてSNOM測定を行っている。試料表面からの蛍光・ラマン光はAr+LASER(488nm)で測定している。 現在、観察試料として、カルボナドを用いている。カルボナドはサブミクロンから数ミクロンの微結晶が集合化した天然多結晶ダイヤモンドで、その優れた強度から加工用材料として用いられてきた。また、炭素同位体組成がδ13Cで-28から-23で生物的な値を示し、包有物もマントル起源の鉱物が含まれず、非マントル起源が議論されている未だに成因が不明のダイヤモンドである。そこで、SNOMでカルボナドの結晶粒間のスペクトルを測定することにより、結晶間の残留圧力の測定を試みている(残留圧力からカルボナドの成因に制約を与える)。 現在、SNOM装置の開発途中であるが、現段階までに得られた結果・問題点、そして今後の展望について議論していく。