日本臨床外科学会雑誌
Online ISSN : 1882-5133
Print ISSN : 1345-2843
ISSN-L : 1345-2843
症例
待機的腹腔鏡下虫垂切除術を行った金属異物による穿孔性急性虫垂炎の1例
浅田 祐介馬場 秀雄工藤 裕実岡本 信彦竹島 薫山藤 和夫
著者情報
ジャーナル フリー

2019 年 80 巻 12 号 p. 2228-2232

詳細
抄録

症例は41歳,男性.発熱・腹痛で受診し,膿瘍形成を伴う穿孔性急性虫垂炎と同部に金属異物を認めた.拡大手術の回避を念頭に,待機的虫垂切除(interval appendectomy,以下IA)の方針とし,待機的に腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.確実な異物回収と根部処理のため,虫垂根部処理・切離は回盲部を授動して腹腔外で直視下に行った.約7mmの金属異物を回収した.経過は良好であった.

異物による虫垂炎の報告は散見されるが,腹腔鏡手術の報告は少なく,特にIAに成功した報告は検索し得る限り本邦では初例である.

昨今,本症例のような局所の炎症が強い急性虫垂炎に対してはIAの様々な利点が提唱され,有力な治療戦略の一つである.しかし,異物による急性虫垂炎に対するIAの適応については,報告が稀であり不明である.本症例は,異物による急性虫垂炎におけるIAの適応,有用性を示唆する重要な症例と考え,報告する.

著者関連情報
© 2019 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top