日本臨床外科学会雑誌
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症例
化学療法が奏効した小腸神経内分泌癌の1例
土屋 博杉山 保幸櫻谷 卓司山田 誠
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2019 年 80 巻 12 号 p. 2221-2227

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抄録

症例は65歳の女性で,C型肝炎のfollow-up中の腹部エコーにて多発肝腫瘤と小腸腫瘤を指摘された.肝生検の病理結果はAE1/AE3,CD56,chromogranin A,synaptophysinが陽性,Ki-67 indexは 66%であり,小腸原発の神経内分泌癌および同時性多発肝・リンパ節転移,多発腹膜播種,胸膜転移と臨床診断した.腸閉塞症状が出現したため開腹手術を実施したが,原発巣は切除不能で,回腸・横行結腸バイパス手術を施行した.術中にサンプリングした腹膜播種巣の病理組織検索でも神経内分泌癌と診断され,回腸が原発と判断した.術後に一次治療としてCDDP+VP-16併用療法を施行したが,治療効果はPRであった.小腸神経内分泌癌は稀少疾患であるため標準治療は確立されていないが,CDDPとVP-16が有効な治療法になる可能性がある.

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© 2019 日本臨床外科学会
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