日本臨床外科学会雑誌
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症例
Chilaiditi症候群を伴った下行結腸固定異常による結腸軸捻の1例
武山 大輔中野 徹安本 明浩澤田 健太郎片寄 友柴田 近
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2019 年 80 巻 12 号 p. 2243-2249

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抄録

症例は43歳,女性.嘔吐,下痢,腹痛の症状のため受診した.37.8度の発熱,上腹部に圧痛を認め,CRPが22mg/dLに上昇していた.腹部CT検査所見では右横隔膜と肝臓との間に著明に拡張した結腸を認め,さらに左上腹部にwhirl徴候を認め,結腸軸捻が疑われた.緊急下部消化管内視鏡検査を行ったところ,拡張結腸において壊死所見を認めた.Chilaiditi症候群を伴った結腸軸捻を疑い緊急開腹術を行った.下行結腸が後腹膜に固定されていない下行結腸固定異常と診断した.拡張結腸を含めて結腸左半切除を行い,術後経過は良好で退院となった.退院後に小腸が右横隔膜下に嵌入し,小腸腸間膜と横行結腸に近位空腸が挟まれる腸閉塞を発症し,保存的加療を行った.下行結腸固定異常に起因する結腸軸捻,大腸型Chilaiditi症候群に対して手術を施行し,さらに術後に小腸型Chilaiditi症候群を呈した稀な症例を報告する.

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© 2019 日本臨床外科学会
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