2019 年 80 巻 12 号 p. 2269-2276
症例は38歳.男性.自動車事故で腹部を打撲し当院へ救急搬入された.腹部造影CTで後上膵十二指腸動脈から出血を認めたためIVR(interventional radiology)で止血を施行後に,膵頭部損傷に対して膵頭十二指腸切除術(pancreaticoduodectomy:PD)を施行した.術後,腹部コンパートメント症候群,膵管チューブの逸脱によりそれぞれ再手術を施行し,膵外瘻としたが,受傷後188日目に膵胃吻合を行い軽快退院した.膵頭部の高度な損傷に対してはPDが必要になるが,膵外傷に対するPDは死亡率15%を超え,合併症の頻度も高く適応には慎重な判断を要し,合併症回避のために二期的なPDも考慮が必要である.術後も外傷手術後は大量輸液となり,ACS発症のリスクは高く,手術時にopen abdominal managementなど,予防的な処置も検討が必要である.