2019 年 80 巻 2 号 p. 293-297
症例は53歳,男性.心窩部痛を主訴に近医を受診.閉塞性黄疸を伴う総肝動脈瘤の切迫破裂の診断のもと当院へ紹介入院.肝動脈瘤は直径13cmで,解離は腹腔動脈分枝直後から認められ,脾動脈,左胃動脈の分枝直後から総肝動脈が瘤を形成しており,左右肝動脈起始部まで嚢状を呈していた.動脈瘤によって腹腔動脈起始部や腹部大動脈の露出が困難であったため,大動脈閉塞バルーンカテーテル(intra-aortic balloon occlusion (IABO) catheter)を用いて腹腔動脈分岐部の中枢側で腹部大動脈を遮断した.動脈瘤を切開して瘤の内腔から総肝動脈の開口部を確認し同部を縫合閉鎖した.また,瘤内腔から左右肝動脈の開口部を確認し,同部と左胃動脈とをY字を形成した大伏在静脈をグラフトとして吻合し再建した.術後血液検査値は順調に正常値に復し,術12日後に軽快退院した.術8年後の現在,健存中である.