日本臨床外科学会雑誌
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症例
胸腔鏡下左上葉切除術を行った左上大静脈遺残を有する左肺癌の1例
武藤 潤佐々木 明洋田畑 佑希子大竹 節之大野 耕一
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2019 年 80 巻 2 号 p. 298-302

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抄録

心血管系の奇形を有する患者に対する肺癌の手術は,予期せぬ大出血を引き起こす可能性や,リンパ節郭清の障害となる場合がある.今回われわれは左上大静脈遺残を有する左上葉肺癌患者に対して,胸腔鏡下左上葉切除術+ND2a-2を施行した.症例は64歳,女性.CTで左S1+2に27×20mm大の結節影を認め,さらに左上大静脈を認めた.副半奇静脈が大動脈弓部の側面を背側から腹側に通過し左上大静脈に流入していたため,副半奇静脈をテーピングしリンパ節(#5)郭清を行った.左上大静脈遺残はKeithによって3型に分類されているが,本症例はグループ(a)の左上大静脈が冠状静脈洞に開口するものに分類され,心奇形が無ければ左上大静脈遺残に対する手術は不要とされている.術前のCTで左上大静脈が肺静脈とは交通していないことを確認し,さらに術中も注意深く血管の確認を行うことで安全に完全胸腔鏡下左上葉切除術を施行できた.

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