2019 年 80 巻 3 号 p. 466-473
35年間,主に携わってきた肝胆膵外科手術に関わるいくつかの工夫と試みを紹介する.この領域の手術には血管(脈管)外科手術手技の習得が重要である.肝臓では肝静脈と下大静脈(IVC),胆道では肝門部胆管,膵では門脈と上腸間膜動脈および主膵管への取り扱いが,手術後の患者経過を左右する一つの要因になると考えている.
本稿では,今までに行ってきたIVC進展癌に対する手術補助手段としての体外循環併用法とIVC単純遮断法,右肝切除兼膵頭十二指腸切除に代表される超拡大手術の問題点,脈管外膜に沿った過不足のないskeletonizationの意味,地方一般病院での手術的trial(膵尾側切除術の膵断端隔離法56症例・膵頭十二指腸切除術のno stent膵腸再建法連続137症例・長時間手術における術中Pause 350症例),以上について,私への教訓と反省を含めて報告する.