2019 年 80 巻 3 号 p. 474-479
目的:高齢者胃癌に対する腹腔鏡下胃切除術(Laparoscopic Gastrectomy ; 以下LG)の成績を後方視的に検討し,安全性,有効性を評価した.方法:2011年4月から2015年12月までにLGを施行した胃癌患者535例を対象に,80歳以上をO群(81例),80歳未満をY群(454例)として,患者背景因子,手術関連成績に関して比較検討を行った.結果:術前併存疾患罹患率はO群で有意に高く,D2郭清割合はO群で有意に低かったが,手術時間,出血量,リンパ節郭清個数,合併症率(Clavien-Dindo分類Grade II以上)で2群間に有意差を認めなかった.多変量解析の結果,手術時間が術後合併症の独立予測因子であった.3年生存率はO群で83.6%,Y群で89.0%であり,2群間で有意差はなかった.結語:高齢者胃癌に対するLGは安全かつ妥当な術式であると考えられる.