日本臨床外科学会雑誌
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症例
抗甲状腺薬投与によりANCA関連血管炎を発症したBasedow病の2例
和久 利彦
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2019 年 80 巻 3 号 p. 486-490

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抄録

症例1は49歳,女性.近医でBasedow病の診断でMMI投与を開始.投与1カ月で多関節炎を呈し投与を中止したが,症状悪化のため当院紹介.炎症反応・MPO-ANCA(144EU)の高値を認めたが,入院1週間後に関節炎が改善し,当院受診1カ月後には関節炎の消失とMPO-ANCAの低下をみた.当院受診2カ月後にMPO-ANCAは正常化し,MMI誘発AAVと診断した.当院受診3カ月後に甲状腺全摘術を行ったが,術後に関節症状の発現はない.症例2は64歳,女性.10年前Basedow病の診断でPTU投与を開始.PTUを400mg/dayまで増量した後,炎症反応,紫斑,関節痛,腎機能障害,MPO-ANCA (67.6U/ml)高値を呈したことから薬剤誘発AAVが疑われた.APTTの延長,LAC陽性も認めaaPLキャリアも疑われた.PTU中止後甲状腺全摘術を行い,術後1カ月で臨床症状が消失し,術後16カ月でMPO-ANCA改善・LAC正常化したことより,PTU誘発AAV・aaPLキャリアと考えられた.

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© 2019 日本臨床外科学会
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