日本臨床外科学会雑誌
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症例
残胃主要動脈血流の途絶を余儀なくされるも残胃壊死を免れた1例
菅野 裕樹石川 博人橋本 和晃田中 啓之奥田 康司
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2019 年 80 巻 4 号 p. 719-723

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抄録

症例は75歳,男性.13年前に胃噴門癌に対して噴門側胃切除術が施行された.2017年2月,食思不振と倦怠感を主訴に前医を受診し,十二指腸乳頭部癌の診断で当科紹介となった.左胃動脈・短胃動脈・左胃大網動脈は既往手術で切離され,CTでは右胃動脈も描出されず,残胃血流は右胃大網動脈のみで維持されていると考えられた.2017年4月,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行した.右胃大網動脈遮断による残胃壊死の可能性を考え,右胃大網動静脈を温存した.術後2病日にドレーン排液が血性となり,CTで胃十二指腸動脈に仮性動脈瘤の形成を認めた.仮性瘤破裂による致死的合併症の危険性があり,残胃壊死の可能性を考慮した上で右胃大網動脈のコイル塞栓を行った.塞栓後の腹腔動脈造影では右胃大網動脈末梢側が造影され,残胃への側副血行路が確認された.その後,残胃壊死の所見は認めなかった.

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© 2019 日本臨床外科学会
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