日本臨床外科学会雑誌
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症例
腹腔鏡で早期診断した圧縮空気による広範囲大腸損傷の1例
神崎 雅之古手川 洋志久米 達彦堀内 淳明比 俊
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2019 年 80 巻 4 号 p. 755-759

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抄録

圧縮空気の経肛門的挿入による広範囲の大腸損傷を早期手術介入により診断し,救命した症例を経験した.症例は33歳の男性で,業務中に同僚からエアコンプレッサーを衣服の上から肛門部にあてられた.直後より腹痛と血便を認めたため,当院に救急搬送された.左腹部を中心に圧痛を認め,当院に搬送後も血便を認めた.腹部造影CTで脾彎曲部結腸に腸管壁在気腫を認めた.回盲部と骨盤内に少量の腹水の貯留を認めた.腹腔内遊離ガスは無かった.診断目的に手術の方針とし,腹腔鏡を用いて腹腔内の観察を行った.広範囲の大腸に漿膜下血種を認めたため,開腹移行とした.上行結腸からS状結腸と直腸に漿膜筋層の損傷と漿膜下血種を認め,穿孔は認めなかった.漿膜筋層損傷部は縫合修復し,回腸に人工肛門を造設した.圧縮空気の経肛門的挿入で,穿孔を伴わない広範囲の腸管損傷をきたした症例を経験した.診断も含めた早期の手術介入が有効と考える.

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© 2019 日本臨床外科学会
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