日本臨床外科学会雑誌
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症例
切除17年後に遺残虫垂から生じた腸管皮膚瘻合併低異型度粘液性腫瘍の1例
諸藤 教彰大倉 康男
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2019 年 80 巻 4 号 p. 750-754

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抄録

症例は69歳,男性.17年前に虫垂切除術を施行され,繰り返す手術創感染のため当科紹介となった.腹部造影CTで手術創直下の腹腔内に液体貯留を認め,瘻孔造影検査で回腸が造影されたため腸管皮膚瘻と診断し,手術を施行した.瘻孔は虫垂切除断端と回腸と癒着していたため,盲腸末端および回腸の部分切除術を施行した.術後病理組織検査で低異型度虫垂粘液性腫瘍(low-grade appendiceal mucinous neoplasm:以下LAMN)と診断された.LAMNは腹膜偽粘液腫をきたす可能性もある臨床的に悪性の腫瘍である.遺残虫垂から発生したLAMNは稀であり,さらに自験例のように腸管皮膚瘻を呈することは非常に稀である.虫垂切除断端からの瘻孔形成を認めた場合,虫垂腫瘍の可能性も考慮して慎重に外科的治療を行う必要があると思われた.

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© 2019 日本臨床外科学会
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