2019 年 80 巻 4 号 p. 773-778
症例は77歳,女性.下血を主訴に来院し下部消化管内視鏡検査で直腸癌と診断され,加療目的で当院紹介.精査で直腸癌(Ra) Type2 cT3N1M0 Stage IIIと診断した.また,術前精査で左骨盤腎を認めるほか右卵巣腫瘍も見られた.骨盤腎は岬角のレベルに存在しており直腸後壁の剥離に難渋することが予測されたため,事前にポート位置のsimulationを行い手術に臨んだ.術式は腹腔鏡下低位前方切除+D3郭清+右卵巣腫瘍切除+回腸人工肛門造設術を行った.術後,特に問題なく経過し退院となった.術前の詳細な画像評価およびポート位置の工夫により,骨盤腎併存直腸癌でも安全に切除可能であると考えられた.骨盤腎を合併した直腸癌手術の報告は稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.